アルミのお役立ち情報

Column

2023.2.16

アルミの絞り加工とは?メリットや商品の質を高める最新の技術をご紹介!

アルミは軽くて比強度が高く、その他にも様々な有用な特徴があります。

そして、アルミの板に絞り加工を施すことで、様々な製品や部品に活用できます。

絞り加工とはどんなものなのか?また、どんなメリットや加工方法があるか、最新技術を含めてご紹介します。

 

 

アルミの素材特性

アルミとは、一般的にアルミニウムとアルミニウム合金のことを指し、アルミニウムの純度が99%を超えているものがアルミニウム、それ以外がアルミニウム合金と呼ばれます。

アルミといえば、まず『軽い』という特性が挙げられますが、それだけでなく比強度(単位重量当たりの強度)の高さも大きな特性といえます。

その他、加工性、耐食性、装飾性に優れ、毒性がない、非磁性体で磁場に影響されない、熱伝導率が高い、低温に強い、光や熱を反射しやすい、真空特性が良い、リサイクル性が高い、などの特性が挙げられます。

 

 

絞り加工とは

絞り加工とは板金加工のひとつで、一枚の金属板に圧力を加え、絞り込むことで容器状にする加工方法。

複雑な形状への加工も可能です。

成形したい製品の形状に沿ったダイと呼ばれる下型の金型に板材をセットし、パンチと呼ばれる上型の金型で圧力をかけることで加工します。

その際、われの原因となるシワを防止するため、ブランクホルダーと呼ばれるシワ押さえで押さえます。

 

絞り加工には様々な技法がありますが、

①円筒絞り加工
②角筒絞り加工
③円錐絞り加工
④異形絞り加工
⑤角錐絞り加工
⑥球頭絞り加工
⑦しごき加工

の7つが代表的な技法です。

 

また、直径が深さよりも大きいものを『浅絞り加工』、直径が深さより小さいものを『深絞り加工』といいます。

継ぎ目なく様々な形状に加工できるので、アルミ缶や灰皿、ボトル容器、自動車のボディ、鍋やシンクなどの日用品、その他工業製品や機械部品としても利用されています。

 

 

絞り加工のメリット

絞り加工にはどんなメリットがあるのでしょうか?

この章では、3つのメリットをご紹介します。

 

工数削減により、加工時間が短くなる!

切削や溶接などの加工を組み合わせていたところを絞り加工に変更することで、工数の削減が可能です。

工数が削減できれば全体の加工時間の短縮ができるので、商品の大量生産や、残業時間の削減によるワークライフバランスの安定にもつながります。

 

材料や人件費などのコスト削減ができる

絞り加工は、金属の塊ではなく板金を加工するため、材料コストの削減が期待できます。

また、工数削減により人件費や光熱費などの加工コストの削減も可能です。

 

品質を高められる

切削加工をしなくて済むので、素材へのダメージが抑えられ、表面に傷がないきれいな仕上がりが実現できます。

また、薄くても一定の強度が保てますし、軽量化ができる可能性もあり、全体的な品質向上が期待できます。

 

 

製品に合わせて活用したい特殊な絞り加工

 

絞り加工には、板金を金型で挟んでプレスする一般的な加工方法以外にも、特殊な加工方法があります。

作りたい製品の形状などに合わせて採用することで、品質の向上や工程の削減などが見込めます。

この章では、3つの特殊な絞り加工についてご紹介します。

 

温間成形法

熱を加えた板金をプレスして成形する絞り加工方法です。

温度が上がると加工性が高まるという金属の性質を利用した方法といえます。

ダイとブランクホルダーをヒーターで加熱し、プレスは水で冷却するなどし、板金の温度を調整しながら加工します。

初期費用やランニングコストがかさんでしまうというデメリットはありますが、薄い板金を使いたいときや、より複雑な形状に加工する場合、絞り回数を削減したい時などに採用されます。

 

対向液圧成形法

液体を満たした液圧室にパンチを押し込むことで生じる対向液圧によって板金を加工する絞り加工方法です。

板金に均等に圧力が加わるため、厚みが均等になるうえ、より正確なサイズが実現できます。

一般的な加工よりも深い絞り加工が可能になるため、加工回数を削減できる場合もあります。

下型の金型がいりませんし、傷やへこみのリスクも軽減できますが、成形に時間がかかる点はデメリットです。

 

インパクト加工

板金にパンチで衝撃(インパクト)を与えることにより、板金が伸び上がってくることを利用した加工方法です。

一般的な絞り加工では何工程も必要だったものも1回で成形することが可能で、大幅な工程削減が期待できます。

また、これまでは不可能だった深さまで加工できることもメリットです。

省資源、省エネルギーにも貢献するため、さまざまな業界から注目されています。

 

昭軽金が手がけるインパクト加工の詳細は以下のページからご確認ください。

https://www.showa-keikin.co.jp/business/

 

 

最後に

これまでの加工方法を絞り加工に置き換えるだけでなく、既に絞り加工を取り入れている企業であっても、より適した加工方法を導入することでコスト削減や品質の向上が見込めます。

同じ絞り加工でも『どの方法を用いるのか』『技術力は高いのか』などによって、最終的な製品の品質は大きく異なります。

納得のいくコストで、より良い製品を作るために、是非一度現在の加工方法見直してみてくださいね。
 

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監修者

  • 取締役社長

中 保博

昭和軽金属はアルミの加工だけにとどまらないご相談を大切にしています。
設計通りに加工することは簡単です。
その背景にある、お客さまがアルミを加工したい目的はなにか、どのようなカタチで最終品として使われるのか、どうしたら便利に利用されるか。
アルミ加工+「X」を考えてお話することで、お客さまや消費者さまの「!」を生み出します。