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2024.4.26

展伸用合金の特性についてご紹介

展伸用合金とは、板、条、形材、箔、棒、線、およびリベットに使われる展伸加工性の優れた合金のことです。

鍛造品もこれに含まれています。

今回は、展伸用合金の特性について、シリーズごとにご紹介していきます。

 

 

 

 

合金の種類:純アルミニウム<1000 シリーズ>

 

1000 シリーズは純度99.0%以上のアルミニウムです。

代表的なものは1050 (純度99. 5%以上)と1100- 1200 (純度99 .0%以上)です。

99.95%以上を特に高純度アルミといいます。

微量のFe とSi を特性に応じて調整したアルミニウムで、合金より柔らかく加工性に優れ、耐食性が非常によく、溶接や表面仕上げが綺麗にできる上、電気や熱の伝導性などに優れています。

一方で強度は低いため、反射性、耐食性、導電性などの特性を活用した反射板、送配電材、装飾品、各種容器、放熱材などに使われています。

 

 

合金の種類:AI(アルミ)- Cu(銅)系合金<2000 シリーズ>

 

代表的なものは、 ジュラルミンや超ジュラルミンと呼ばれる2017や2024合金です。

Cu2 〜6%、Mg0. 4〜1.8% を含んでおり、軟鋼を50%も上回る引張強さがあります。

機械的性質や切削性に優れて機械加工がしやすいのも特徴です。

厳しい腐食環境下で使用する場合は、耐食性のよい純アルミニウムやアルミ合金板を被せて用いることがあります。

航空機用材、輸送機器、機械部品などによく使われています。

 

 

合金の種類:AI(アルミ)- Mn(マンガン)系合金<3000 シリーズ>

 

3000シリーズは成形性、溶接性、耐食性に優れています。

代表的なものは、Mnl〜1.5%を含む3003、Mnl〜1.5%とMg0.8〜1.3%を含む3004合金です。

純アルミニウムのもつ耐食性を低下させず、強度は20%ほど高くなっています。

アルミ缶などの容器をはじめ、日用品、住宅外装など、幅広い用途で使われています。

 

 

合金の種類:AI(アルミ)- Si(けい素)系合金<4000 シリーズ>

 

4000 シリーズは耐熱性、耐摩耗性に優れ、線膨張係数が小さく、湯流れが良いという特徴があります。

よく使われるのは、建築用パネルなどに用いられる4043合金 (Si4.5〜6%) です。

この合金系は融点が低いので、溶加材やろう材としても多用されます。

4032合金(Sill〜13.5%)は耐熱性を向上させた合金で、耐摩擦性が高く、鍛造ピストン材料として活用されています。

陽極酸化処理によって暗灰色の自然発色皮膜をつくるので、ビル建築の外装パネルにも使用されています。

 

 

合金の種類:AI(アルミ)- Mg(マグネシウム) 系合金<5000シリーズ>

 

5000シリーズは、中程度の強度を持ち、機械加工性に優れています。

また、純アルミと同等の耐食性があり、特に海水に対して強いです。

Mg含有量が比較的少ないもの(M80. 5- 1. 1%)は装飾材や器物材用に、多いもの (Mg2. 2-5 .6%)は両蓋材や各種の構造材用としてよく使用されています。

5083はMg含有量が多く、非熱処理合金としては最も優れた強度をもち、溶接もしやすいです。

船舶、車輌、化学プラントの溶接構造材として使われています。

海水や工業地帯の汚染環境に強く、外観を問題としない場合は表面処理を施す必要はありません。

 

 

合金の種類:AI(アルミ)- Mg(マグネシウム)-Si (けい素) 系合金<6000シリーズ>

 

6000シリーズは押出性に優れ、強度、耐食性もあります。

代表的なものは6061・6063合金(Mg0.5〜1. 2%、Sio.2〜0.8%)です。

6061合金は銅を微量添加し強度をあげたもので、設計上たわみを問題にしない場合は、SS400鋼と同等の許容応力が得られるという利点があり、各種構造材に用いられています。

6063合金はMs,、Siの 量が6061合金に比べて少なく、銅を加えていないので6061合金より強度はありませんが、その分加工しやすくなっています。

そのため、6061ほどの強度を必要としない押出形材として、建築用サッシ関係に多量に使用されています。

 

 

合金の種類:AI(アルミ)- Zn(亜鉛)-Mg(マグネシウム)系合金<7000シリーズ>

 

7000シリーズには、アルミニウム合金の中で最も高い強度をもつAL-Zn-Mg-Cu系の高力合金と、Cuを含まないAI-Zn-Ms系の溶接機造用合金の2系統があります。
代表的なものはAI-Zn-Mg-Cu系の7075合金 (Zn5〜6%、Mg2~ 2. 9%、Cul. 2〜2%)で、超々ジュラルミンとして日本で開発されました。

アルミ合金の中でも最高の強度をもち、航空機関係のほか、スキーストックなどのスポ ーツ用具類や金型用などに利用されています。

AI- Zn-MgS 合金は強度が比較的高く、熱処理ができる冷接機造用材として開発された合金です。

溶接した後の熱影響部も時効硬化性により母材に近い強さに回復するので、優れた継手効率が得られます。

代表的なものは7003、7N01合金(Zn4〜6.5%、Mg0.5〜2%)で、新幹線をはじめとする車両用・造材などの溶接構造用材料として広く使われています。

 

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監修者

  • 取締役社長

中 保博

昭和軽金属はアルミの加工だけにとどまらないご相談を大切にしています。
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