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2024.2.1

アルマイト処理のメリット・デメリットとは?

 

アルマイト処理とは、アルミニウムやその合金の表面を、厚くて丈夫な陽極酸化被膜でコーティングする処理方法のことです。多くのアルミニウム製品でこの処理が施されており、バイクや自動車などにも活用されています。
今回は、そんなアルマイト処理のメリットとデメリットについてご紹介します。

 

【アルマイト処理の5つのメリット】

 

アルマイト処理は、アルミニウムの欠点を補ってくれるメリットがたくさんあります。
そんなアルマイト処理のメリットを5つご紹介します。

 

<メリット①硬度・耐摩耗性が向上する>

アルマイト処理の代表的なメリットは、表面硬度と耐摩耗性を高めることです。
アルミニウムは柔らかく、それは加工のしやすさにもつながっていますが、強い力がかかるような部分に使用するには硬度が足りません。アルマイト加工を施して硬度を向上させることで、部品や機械の摩耗や傷の発生を抑制することができます。

 

<メリット②腐食を防止する>

アルミニウムは自然に表面に酸化皮膜を生成するため、一般的にはさびにくいといわれる素材ですが、環境によっては、自然酸化被膜だけでは腐食が進行する可能性があります。柔らかい素材ゆえに、傷がついたところから腐食が進むケースも見られます。アルマイト処理を施すことで人工的な皮膜を生成し耐食性を向上することができるので、長期間美しい状態をキープする効果が期待できます。

 

<メリット③絶縁性(電気が流れない状態)が付与される>

アルミニウムは電気が流れる金属ですが、アルマイト処理を行うことで絶縁され、電気を通さなくなります。多くの電子部品でアルミニウムを使う際に活用されています。ただし、条件によって絶縁性が異なる点には注意が必要です。

 

<メリット④熱伝導率が低くなる>

アルミニウムは、銀、銅、金に続いて熱伝導性の高い素材ですが、アルマイト処理を施すことにより、熱伝導率が処理前と比較して約3分の1に低下します。その結果、熱を伝えたくない部分にも活用できます。

 

<メリット⑤装飾性が向上する>

アルマイト処理によって生成される酸化皮膜は多孔質構造を持っているので、染料を吸着させることで多様な色のアルマイトを作ることができ、装飾性を向上させることができます。染料の温度や湿度、皮膜の暑さによって色味の調整が可能で、モバイル関連機器、インテリア雑貨などに活用されています。このようにカラーバリエーションの豊富な金属は少ないため、重宝されています。

 

 

【アルマイト処理の3つのデメリット】

 

豊富なメリットのあるアルマイト処理ですが、デメリットもります。
メリットだけではなく、デメリットも踏まえて、上手にアルマイト処理を活用しましょう。

 

<デメリット①耐熱性が低い>

アルマイト皮膜は耐熱性が低く、100℃程度でクラック(ひび割れ)や剥がれが生じるリスクがあります。
はがれてしまった場合、一度全体を剥離して、再度アルマイト処理をしなければなりません。

 

<デメリット②柔軟性が乏しい>

アルマイト処理で生成される酸化皮膜は柔軟性に乏しく、加工部分を曲げるなどして加工した場合に、皮膜が破損する可能性があります。

 

<デメリット③退色しやすい>

カラーバリエーションを楽しめることはメリットですが、その一方で退色しやすいという点には課題が残っています。紫外線があたったり、高温にさらされたりすると、退色のリスクが高まります。

 

 

【まとめ】

 

アルマイト処理は、アルミニウムの欠点をカバーできる表面処理方法であるといえます。しかし、高温などの環境や加工方法よってはデメリットが生じる可能性がありますので、アルマイト処理を行うのが最適かどうかは、プロのアドバイスを受けるのが安心です。他の処理方法も含めて、最適な加工方法がなにかを相談してみてくださいね。

 

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監修者

  • 取締役社長

中 保博

昭和軽金属はアルミの加工だけにとどまらないご相談を大切にしています。
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その背景にある、お客さまがアルミを加工したい目的はなにか、どのようなカタチで最終品として使われるのか、どうしたら便利に利用されるか。
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